うにゃにゃ通信

日本近現代史系公開めも書き

2019-01-01から1年間の記事一覧

統制社会と「がんばる」

日本社会の統制が進んだのは昭和初期以降で、同時に天皇の神格化と「がんばる」の浸透が進んだ。 西洋社会に対抗する日本的な価値観として、天皇を頂点とした統制社会が推奨され、そこでの個々は「がんばる」ことがデフォルトの美徳となった。 民主主義より…

日本社会の根幹思想と、エネルギー無駄食い社会

どんな業界でもそうかもだが、放送局にはエリート部署と雑草部署がある。一般論だがエリート部署の人たちが書く本には、かなりの割合で共通する特徴がある。取材・制作のプロセスをやたらと書きたがることだ。そこで著者たちは懸命な取材をし、真摯に悩み抜…

「私、失敗しないので」は失敗の歴史からか。

米倉涼子主演のドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の決めゼリフ「私、失敗しないので」について考えている。なぜ視聴者は、人々は、「私、失敗しないので」に喝采を送るのか。 「ドクターX」は、タイトルからも、そして、ナレーションに田口トモロヲ…

頑張ることに重きを置く価値観が見落としているもの。

メダカの世話とか、庭木の手入れとか、頑張ればどうなるものでもない。毎日の、ちょっとしたことの積み重ね。部屋のテーブルヤシは、毎日、薄い液肥を霧吹きでかけて、10年かけて、ずいぶんと立派に育った。 ぼくらが生きていくうえで本当に大切なものは、…

「最後まで諦めない」と、いつまで言い続ければいいのだろうか。

「最後まで諦めない」は、賞賛されるフレーズだ。多くの人は、このフレーズが賞賛されることに疑いを持っていないだろう。教育現場においても、こどもたちがこうした姿勢で勉学その他に取り組むことを勧めている。 かつて太平洋戦争において、日本は「最後ま…

「硬教育」は何故戦後まもなく復活したか。

昭和22年に創刊され、現在も刊行が続いている月刊教育誌「児童心理」。昭和24年6月号の特集は「訓育の問題」。編集後記(p80)には、「「訓育」という問題について、立入って考えるべき時機に来ていると思う。本誌が、それを特集としたゆえんである」と…

戦術→根性

ラグビー日本代表が世界ランク2位のアイルランドに勝ったことを日本の大衆がどう理解したかの件。勝因は優れた戦術とそれを貫いたことにあったようだし、緻密な戦術を貫くために徹底した練習が行われたようだ。いくつかのテレビ番組でのコメントをみるかぎ…

努力は必ず報われる、わけないじゃん。

明日で終わるNHKの朝ドラ「なつぞら」は「すずちゃん好き」の僕としては毎朝欠かせないものだったが、ひとつ、気に入らないところがある。 「努力は必ず報われる」といったような美徳を吹聴していることだ。あと、「漫画映画」の制作に長時間労働を良しとす…

ちゃんと怠ける。

昨日書いた「「頑張り」の日本人が「なりゆき任せでなんとかなるさ」を好む理由とは。」の続き。 基本的に、ぼくら日本人はナマケモノだ。でなければ、「なんとかなるさ」とは考えない。 ほんとうの働き者は、自分で「なんとかする」と考え、努力し、達成を…

「頑張り」の日本人が「なりゆき任せでなんとかなるさ」を好む理由とは。

内田樹が「そのうちなんとかなるだろう」という自叙伝を出したらしい。 「やりたくないことはやらない」「無駄な決断はしない」「直感に従って生きればいいだけ」。武道家でもある著者が、これからの時代を生き切るための心構えを熱く語ります。いじめが原因…

天皇という他者に依存する僕ら日本人

作家の門井慶喜が書く。 原武史『平成の終焉』は、平成が終わってから読もうと決めていた。〔略〕著者は言う。3年前、天皇明仁(本書の用語にしたがう)があの「おことば」で退位の意志を示したところ国民みんなが賛成したが、この経緯はじつは74年前、昭…

「令和、いい時代になるといいですね」という問題発言

街の声として、「令和、いい時代になるといいですね」などといったフレーズが、メディアで一様に伝えられた。 明るい時代の到来を期待するコメントの数々だが、何故この国では、こんなフレーズがごくあたりまえのように発せられ、受け止められているのだろう…

「天皇主義」について

天皇制、というのはもともとは共産党用語だったりして、できるだけ使わないようにしているのだけど、まあでも一般的には天皇制というワードはよく使われるわけだが、しかし、実態的に「天皇制」で良いのだろうかとの疑問が湧いた。 というのは、天皇の神格化…

小国になり損ねた日本(仮)

日本は「偉大なる“愚民”国家」として繁栄してきたと思っている、と、小説家の真山仁氏は言う。「それは愚かな国民という意味ではない。国家のかじ取りはおかみに任せて、ひたすら真面目に働き、“愚直”に生きる──。このような社会の成り立ちは、世界でもまれ…

天皇はこの先も国民の総意に基づき国民統合の象徴であり続けられるか

国民健康保険がこうなってることを、いまさら知った。 2012年7月、外国人登録制度が廃止され、それに伴い、3カ月を超えて在留する外国人は国民健康保険に加入することとなった。 - link 国民じゃ、ねーじゃん。 巷ではこの制度を悪用した事例だとかが…

明治開国以後、なんとかなったニッポン史(仮)

明治以前の日本の庶民は、貧しいなりに、そこそこ幸せな暮らしを送っていた。…とする。彼らの基本的な考え方は、「なんとかなる」だったものと。 明治開国は、庶民にとって幸せだったか。富国強兵にせきたてられる。軍隊が近代的な生活様式をもたらす。天皇…

戦争の敗因:日本は、頑張ったから負けたのだ。

太平洋戦争で日本はなぜ負けたか。 まず、もともと勝てる戦争ではなかったとの意見はもっともだ。だが、戦争と外交を一体のものとみなせば(というか一体だ)、劣勢を承知のうえで戦略的に戦い、何らかの成果を得るという考え方もある。その戦略をもたないま…

自主的思考と象徴天皇

こないだ、朝日のオピニオン「平成流の象徴天皇」に掲載されたものを抜粋。 平成の時代には天皇と政治との関係が大きく変わりました。日本国憲法が求める象徴天皇像からの逸脱がさらに進んだと言っていいでしょう。〔略〕戦争を繰り返さないこと、戦争に対す…

「なんとかなる」の国ニッポン

日本人の国民性、というか、日本人集団の伝統的特性として、「なんとかする」ではなく、「なんとかなる」という基本方針(?)があるように思う。 自律的に考え、行動して、問題を「なんとかする」のではなく、他律的、つまり、他人任せで、問題があっても「…

多様化した社会を統合する象徴とは。

日本国憲法の第一章第一条。 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 今後、日本社会の多様化(ダイバーシティ化)は、間違いなく進む。個々人の考え方、価値観も多様化していく。 画一的だ…

ポテンシャル無駄遣いの国ニッポン

さまざまな分野において、日本人のポテンシャルは、諸外国と比べても決して見劣りするものではない、はずだ。 そのポテンシャルが充分に発揮できない社会構造に問題がある。 成果をあげるよりも、所属集団の長(多くの場合は年長者)を満足させることに無駄…

ぼーっとすることが、日本社会を良くする(仮説)

近現代の日本社会は、他律性・受動性を基本に成り立っている。「頑張る」に象徴される、不断の努力を求められるが、何をどう頑張るかについての自律性・能動性は求められない。むしろ、所属する社会や集団、とりわけ、「上の者」の言うことに、無批判に従う…

「頑張る」には「何とかなるさ」同様の他律性・受動性が含まれている、という話の続き。

「頑張る」というコトバにも、「何とかなるさ」同様の他律性・受動性が含まれている事実に、そろそろ目を向けたほうがいい。 と昨日の記事で書いたが、その続き。 「もはや先進国ではない。なぜ、日本経済はスカスカになったのか?」というネット記事では、…

「だまって俺について来い」の国は「なんとかなるさ」の国

「だまって俺について来い」というのは、いまでは古臭い、亭主関白的な男の定番フレーズだ。 …と思っていたら、発祥は違っていた。 「だまって俺について来い」は、無責任男・植木等が歌った映画の主題歌で、 脳天気な楽天主義讃歌とも、無責任な楽観主義を…

ミンナノジダイ

昭和という特異な時代について、考え続けている。 昭和は、端的にいえば「みんなの時代」だ。子どもの常套句「だってみんな持ってるんだもん」の「みんな」だ。本来は多様性を有しているはずの人々を「みんな」と十派一からげに扱い、「みんな」という不純物…