明治以前の日本の庶民は、貧しいなりに、そこそこ幸せな暮らしを送っていた。…とする。彼らの基本的な考え方は、「なんとかなる」だったものと。
明治開国は、庶民にとって幸せだったか。富国強兵にせきたてられる。軍隊が近代的な生活様式をもたらす。天皇を頂点とした国家体制に組み込まれる。激変のなかでも、彼らの基本的な考え方は変わらなかった。「なんとかなる」と。
天皇を頂点とした体制と、「なんとかなる」が合体したのが、その後の日本の歩みだ。
国際連盟脱退→なんとかなる。
悪化する戦況→なんとかなる。
戦後復興→なんとかなる。
高度成長→なんとかなった!
結局、高度経済成長による「大国」成就をもって「なんとかなった」日本ではあったが、もともと、「なんとかする」ではなく「なんとかなる」と考えてずっとやってきたから、この先のビジョンなんてない。