宮崎駿の映画初監督作品にしてアニメ史上に残る名作、「ルパン三世 カリオストロの城」を見ていて思ったこと。
ルパン三世は、狙った獲物は必ず仕留める泥棒だ。その仕事ぶりは執拗で、徹底している。一方、人間性はきわめてあっさりとしていて、「あばよ!」と去っていく。
仕事ぶりと人間性が、矛盾して両立している。
これは、明治以来、欧米に追いつけ追い越せのキャッチアップを標榜してきた近代日本が目指した、欧米なみの執拗さと、元来の日本人がもっている淡白ぶりを、ルパン三世というキャラクターで成立させたもので、日本人のおそらく理想的なありかたがそこに凝縮されている。
だからルパン三世はぼくらにとって面白いのだろう。