うにゃにゃ通信

日本近現代史系公開めも書き

こうして僕らは「日本人」を卒業していく。

きのうのロシアW杯初戦、日本代表はコロンビア代表に勝った。まさか勝つとは思わなかったけど、90分を通して、日本代表のパフォーマンスは良かった。たぶん、これまでW杯本選で見た日本代表の試合のなかで、最も良い試合だった、というより、やっと、まともな試合を見た。日本代表はW杯でまともに戦っていた。

日本代表は世界でまともに戦える。

…という、考えてみればごく当たり前のことを、僕らは昨夜、目にした。

それは、日本人の愛国心を盛り上げる。と同時に、日本がワールドスタンダードに近づけば近づくほど、日本は特殊な国から普通の国になっていく。いまや世界で唯一元号を使う国、「国家および国民統合の象徴としての天皇」が憲法第1条に規定された国、日本の特殊性は薄れていくだろう。

かつて坂口安吾は「日本精神も今日では必然的に世界精神に結びついてゐる。また結びつかざるを得ないのである」と書いた。世界で活躍する日本人は今後、どんどん増えていく。それは日本人にとって誇らしげなことであると同時に、僕らが日本に拘泥する必然性が薄れていく。

おそらく、「日本人」というアイデンティティは、一時的、過渡的なものなのだ。司馬遼太郎は、幕末には「日本人は実在しなかった」と書いている。「日本人」とは、たかだか150年の歴史でしかない。

今後、僕らは「日本人」を卒業し、「世界人」になっていく。